1. 紙の本にできない「多動日記」
「多動日記」を読んで僕は混乱に陥った。
8月18日 イスタンブール
8月20日 ザグレブからパグ島
8月22日 チューリッヒからサルデニア
8月24日 コルシカ島からトゥーロン
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各章のタイトルが日付と場所になっており、それが無限に続く。一体どういうことなのか。
この謎の答えは著者の高城剛がどういう男なのかを知ることで分かる。
高城剛は2時間の映画も黙ってみていることができない、動かずにはいられない多動症なのだ。
そんな彼は同じ土地に三日として滞在しない。
次から次へ。国から国へと飛び回り、多動を続ける。
「多動日記」はそんな多動男・高城剛が世界を周り感じたことを綴ったエッセイとも言える一冊だ。
そんな彼の飛行距離は優に地球100周を越える。
そう。どう考えても普通ではない。異常だ。
そして彼の思考というものも、かなり常識からかけ離れている。
大手出版社から「タイトルも中身も差別的だ」と跳ね返されたと高城は語る。
それが「多動日記」が紙での出版ができず、Kindleでのみ出版されている理由だ。
ちなみにタイトルにもあるようにAmazon Primem会員ならスマホのKindleアプリで無料で読める。
(2019年10/12時点では無料対象の本から外されておりました。)
普通に買えば700円くらいするが、Amazon Primeに入れば無料で読めるわけで、他にも何冊も無料で読めるので確実に元が取れる。
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2. 型破りな思考
そんな「多動日記」で印象的な箇所を紹介しよう。
まず高城剛の物事をとらえる視点が、いい言い方をすれば斬新で、素直に言えば狂っている。
高城剛は世界中を飛び回っているため、極力安い航空券を探しているのだが、彼曰くWindowsやMacなどで日本語で検索している時点で必要以上にお金を払わされているらしい。
例えば、カンボジアの大学生がクアラルンプールからバンコクに行こうとすれば、日本人の僕が同じクアラルンプールからバンコクに行く同じ便の価格より、安く表示される。(中略)オンラインにはオンラインのルールがある。
多動日記 No.1211/1604
これにはハッとさせられた。確かにそうだ。
日本人とカンボジア人に、同じ価格の航空券が提示される訳が無い。
世には色々な航空券検索サイトがあるが、日本語で検索している以上、それは日本人向けに価格設定されたものだ。つまり日本人の賃金などを加味した上でその値段が決定されているのではないか。
そのため高城剛は、まずPCの言語設定を変更することを勧めている。ブラウザだけではない。スマホごとだ。
間違いなく世のほとんどの人がそんなの面倒だと思うかもしれないが、年間に払う航空券代が20万円もあるならば、使用言語を変えるだけで10万円の半額にすることができ、そのお金で別のOSの端末を買えばいいと彼は語る。
実際に高城氏は複数の端末を持ち歩き、それなりに収入があると思われ、ブラウザに高級マンションの広告が出る日本人の「高城剛」と、誰も知らない小さな街から奨学金でクアラルンプールに留学し、やっとの思い出生活しているカンボジア人「ノロドム・シハーヌク」など、複数の人格をデジタル世界で使い分けているらしい。
脱帽だ。その発想はなかった。
しかしそれだけでは解決できない問題がある。
IPアドレスだ。
いくら端末を分けてもIPアドレスが同じであれば、一方は偽物であることがバレてしまう。
しかしそこは世界中を異常なまでに周り、ドラッグ、銃撃、その他カオスを数え切れぬほどくぐり抜けてきた高城剛だ。
どうすればIPアドレスをごまかせるかもしっかり書いてある。
が、これは実際に読んでのお楽しみとしておこう。
3. 未知の世界への扉を開こう
他にもナポリを支配するマフィアと日本を代表する反社会組織「山口組」の闇マネーの実態や、世界一のパリピの島・イビサ島のドラッグ事情、アメリカのスラム街での銃撃戦との遭遇など、僕たちがただ生きているだけじゃ到底経験することのない世界について、高城剛独自の視点と、多動を経て得た情報収集術により集めた知識で余すところなく語られている。
この本を読んでいると、不思議な感覚に陥った。
「今、高城剛はどこにいるんだ?」
「これは現実世界の話なのか?」
高城剛は動き続ける。
今日もどこかで文章を書きながら、僕らの知らない世界を描き続ける。
さあ、「多動日記」を開いて、未知の世界への扉を開こう。
(ちなみに高城剛は沢尻エリカの元旦那です)
Amazon Primeで無料で読めるのでぜひ。
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