ふつうのレモンサワーには、もう戻れない

 

僕はお酒は苦手じゃない。苦手じゃないが好きでもない。

めちゃくちゃ強いわけでも、一口で顔が真っ赤になるほど弱くもない。

 

しかしお酒を飲んで得られるいい効果はあまりない。頭が鈍るし、お金もかかる。何より筋トレをしている人間にとって酒は飲んではいけないものだ。その日のトレーニングが無かったことになってしまう。なので僕は筋トレをした日は絶対にお酒を飲まない。普段はジムに通っているが、家にも筋トレできる環境があり、週5くらいで筋トレをしている。結果としてほとんどお酒を飲むことがない。

 

おまけに学生のうちに飲む酒はまずい。

 

金も知性もない大学生の飲み会は、いかに安く素早く酔えるかを追求した居酒屋で開催される。

 

雑な飯に飲み放題がついて3000円のコース。出てくる飯はどれもまずい冷凍食品だ。奴らにとって飯はどうでもいい。求めているのはアルコールだ。サワーやハイボールはかわいい方で、爆速で酔うために奴らは日本酒を注文する。

 

日本酒...?果たして本当にあれは日本酒だったのだろうか。

いや、あれはそこらへんにあるアルコール消毒液を移し替えたものに違いない。飲むと喉が焼けるような感覚に襲われ、鼻をアルコールの臭いが貫く。

 

この手の雑な居酒屋で飲むくらいなら路上の方がマシだ。しかし路上は路上で治安が悪い。渋谷や新宿を歩いてみるといい。そこらへんでキノコ頭のファッショニスタみたいな線の細い男と髪色が奇抜な赤リップの女がストロングゼロというこちらも消毒液を缶に突っこんで誤魔化しただけの酒を片手にあぐらを書いてタバコを吸っている。

 

路上がダメなら宅飲みと友達に呼ばれ家にいくと、そこにはスト缶タワーと呼ばれるこの世の地獄を詰め込んだ塔が立っていた。

 

旧約聖書の創世記中に登場する巨大な「バベルの塔」

 

実現不可能な天に届く塔を建設しようとして、神の怒りを買い、バベルの塔は壊されれた。

 

スト缶タワーは現代のバベルの塔だ。

俺たちはスト缶を一本一本飲み干し積み重ねていく度に、一歩、また一歩と天に近づいていく。

しかしスト缶タワーは飲み過ぎて理性を失った一人の体当たりによって、無様に壊れた。

 

 

このようにお酒にいい思い出がない。

 

そんな僕だが、最近気になっているお酒があった。

 

これだ。檸檬堂のレモンサワー。

 

 

はじめに断っておくがこれはステマではない。アナとなんちゃらの女王2のように企業から金をもらって取り上げているのではない。

最近不思議なことにインスタを見ていると、まるで示し合わせたかのようにストーリーにこいつが上がっているのを見た。

 

 

なんなんだ。こいつらみんななんでこの酒を上げるんだ。なんかのマーケティングなのか。

 

実は僕はこの檸檬堂をニュースで見て知っていた。

檸檬堂はあのコカコーラが出しているレモンサワーだ。

2018年5月に九州限定で発売されており、あまりの人気から全国販売が決まったらしい。

 

冒頭でお酒はそんなに好きじゃないと言ったが、サワーは好きだ。アルコールが低いものはジュース感覚で飲める。かつ僕は炭酸が好きなので爽快感も楽しめる。カロリーも低く筋トレに影響もない。

 

コカコーラというブランド力とおしゃれなパッケージに惹かれ、近所のコンビニでスト缶をスルーし、僕は檸檬堂を買った。

 

檸檬堂のレモンサワーは全部で4種類ある。アルコールがそれぞれ3%,5%,7%,9%と分かれており、味も順にハチミツ、定番、塩、鬼とバリエーション豊富だ。

 

今回はハチミツと鬼を買ってみた。

 

 

コンビニで酒を買うのはいつぶりだろう。最後に買ったのはたしか夏だった。

ムッとする熱気の中、冷えたスト缶が心地よかったのを覚えている。今は12月。凍える手で檸檬堂を両手に握る。

 

 

家につき、胸肉を焼く。僕は基本的に自炊している。ボディメイクをするにあたって外食やコンビニ飯は栄養バランスが悪い。

 

前日にみりんと料理酒と醤油につけておいた胸肉をフライパンで焼く。いつもは脂質をカットするために皮をはいでいるが、今日は特別に皮ごと焼く。合間に今朝炊けた白米をレンジで温める。宴の準備が整ってきた。

 

ここまできて何か物足りなさを感じてきた。せっかく酒を飲むというのに胸肉と米だけじゃ華がない。仕方ない。僕は冷凍庫から餃子を取り出した。今日は特別だ。たまには息抜きが必要なのも知っている。だいぶ前に買った冷凍餃子を油を引いたフライパンに入れ、水を少量入れ火をつけ蓋をし、焼き餃子を作った。

 

胸肉も焼け、ご飯も温まった。餃子も焼き上がり、いよいよ宴が始まる。

 

冷蔵庫から冷えた檸檬堂を取り出し、まずは鬼レモンをグイッと飲む。

 

 

「......!!!」

 

これが鬼か。

ありのままのレモンの酸っぱさと、アルコールの香りがガツンと来る。しかしそのアルコールには品がある。スト缶や居酒屋の消毒液とは違い、これがお酒だと言わんばかりの品がある。

 

そして餃子を口に運ぶ。タレは醤油に酢を混ぜたもの。

 

「......!!!」

 

うまい。この感覚は久しぶりだ。レモンサワーに餃子。この組み合わせを思いついた人にこの場を借りて感謝を述べたい。

 

 

続いて胸肉を食す。いつもは皮なしで物足りないが、今日は皮ごといただく。

う、うまい。

カリッカリに焼いた皮とレモンサワーがたまらなく合う。いつもなら味気ない胸肉が、レモンサワーによって最高のつまみと化した。

 

あっという間に鬼レモンを飲み干した僕は続いてハチミツレモンを開ける。こちらはアルコール3%。グイッと飲む。

 

「......!!!」

 

これは...ジュース!!!もはやアルコールは消え去った。さっきまで9%を飲んでいたこともあるかもしれないが、ハチミツの甘さとレモンの爽やかさが美味い。アルコールもほのかに感じるくらいで飲みやすい。

 

ほろ酔いするにはもってこいのお酒だ。

 

気づけば夢中で檸檬堂と共に白米と餃子、胸肉を平らげてしまった。

 

ふう......

 

久々に至福の時間を過ごせた。

 

檸檬堂のレモンサワーと、僕は出逢ってしまった。

 

ふつうのレモンサワーには、もう戻れない。

 

度数に関係なく品のある香りにレモンの爽やかさ。

 

今回飲んだのは鬼レモンとハチミツレモンだったが、他に定番レモンと塩レモンが僕を待っている。

 

さあ、次はどんなレモンサワーを見せてくれるんだ。檸檬堂よ。

 

満腹になり幸せにくつろいでいると、鬼レモンのアルコールがじわじわと回ってきた。

頭が痛くなったり気持ち悪くなったりしない、心地いい酔いだ。

 

檸檬堂は新しいレモンサワーの世界を僕に教えてくれた。

 

ふつうのレモンサワーには、もう戻れない。

 

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