間も無くサッカーワールドカップが開幕、日本代表の活躍に不安も多々ある中、ワールドカップの開催を心待ちにしている方も多いかと思います。
そこで僕がもう一つ注目してほしいと思っているのがラグビーのワールドカップです。
2015年のワールドカップは日本が大躍進を果たし、五郎丸選手の独特なルーティンも話題になりかなり注目されました。
あれから四年、ついにラグビーワールドカップ2019が開催します。しかも舞台は日本。
僕はラグビーが大好きで、以前紹介しましたが浪人時代に観た南アフリカ戦の奇跡の大逆転劇には魂が震えました。
今でも辛い時にみてやる気と勇気をもらっています。
まだまだ知名度が低いラグビーですが、ラグビーほど生の臨場感が半端ないスポーツはありません。テレビでも十分迫力は伝わりますが、やはりスタジアムで見るラグビーはすごいです。体と体がぶつかり合う「ドシッ」という音、腹の底から出される掛け声、トライと同時に湧き上がる大歓声。選手との距離も近く、大興奮間違いなしです。ぜひともラグビーワールドカップを観に行っていただきたいです。
そしてこの記事でオススメしたいのがこの「インビクタス/負けざる者たち」という映画です。
ラグビーファンの僕はAmazonPrimeでこの作品を見つけ、真っ先に観ました。ラグビーの映画ってあんまりないんですよね。
舞台は1994年の南アフリカ共和国。モーガン・フリーマン演じるネルソン・マンデラは反体制派として27年もの間獄中生活を送っていましたが1990年に釈放され、この年に大統領に就任しました。
ただいまだにアパルトヘイト(黒人差別の白人至上主義)が根強い南アフリカではネルソンの大統領就任に反対する白人が多く、前政府の主要ポストに付いていた役人たちは白人に恨みを抱いているネルソンは真っ先に自分達を解雇するに違いないと荷物をまとめていました。
そこに現れたネルソン大統領は彼らを引き止め、「新しい南アフリカを作るために協力してほしい」と彼らを引き止めます。
この作品全体を通して描かれるのはネルソン・マンデラの器の大きさです。憎しみからは憎しみしか生まれないと今まで白人たちにされてきたひどい仕打ちに対する報復は一切せず、ともに新しい国を作るべく奮闘します。
そんな新しい風が吹き始めた南アフリカでは1995年のラグビーワールドカップ開催が決定。南アフリカという国を知ってもらうには絶好のチャンスだと国を挙げてラグビーを盛り上げていきます。
ただ当時の南アフリカでのラグビーの印象は「白人の富裕層がやるスポーツ」といったもの。それに加えルールも複雑で低所得者の多い黒人には受け入れられず、もっぱらサッカーが人気でした。
そのためラグビー南アフリカ代表”スプリングボクス”30名のうち黒人はチェスター・ウィリアムズただ1人。
おまけにチームは弱く、このままではみっともない姿を晒してしまうのではないかと国民の期待も低いままでした。
しかしこのままではいられないとマット・デイモン演じる主将フランソワ・ピナールが奮起。ネルソン大統領とも親睦を深め、共にワールドカップの優勝を目指しメキメキ実力をつけていきました。
南アフリカと聞くとアフリカだから黒人の国!と思う方も多いのではないでしょうか。確かに黒人のバントゥー系民族が80%と多いですが、続いて白人が9%となっており、アパルトヘイト時代にはこの少数の白人が政治を独占し差別を推し進めてきました。
この作品でもアパルトヘイトの暗い過去が随所で描かれ、白人と黒人の対立やネルソン・マンデラが収容されていた施設が登場し、いまだ遺恨が完全には癒えぬ様が伝わってきます。
僕は海外旅行にいってるかのような気分になれる映画が好きで、以前紹介した「きっと、うまくいく」のような現地人の国民性と豊かな自然の描写がたまらなく好きです。
インビクタスでも南アフリカの自然、独自の音楽が登場します。
また劇中ネルソン大統領が繰り返す
「我が運命を決めるのは我なり、我が魂を制するのは我なり」
という詩句は英国詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの「インビクタス」という詩からの引用で、幼少期に骨結核で片足を失った不幸に見舞われながらも強くいきた彼の不屈の精神が歌われています。
そんなインビクタス(invictus ラテン語で「屈服しない」の意味)な魂を受け継いだスプリングボクスの選手たちはワールドカップで快進撃を続けます。
劇中ではラグビーの試合が臨場感満載で描かれ、本格的な試合が楽しめました。屈強な漢と漢がぶつかり合う様は圧巻です。
もちろんルールを知らなくとも楽しめます。
ラグビーファンでもそうじゃない人でも楽しめるインビクタス。南アフリカの歴史に思いを馳せながらネルソン・マンデラという人物の生き様とラグビーの魅力をぜひ覗いてみてください。