先日、金曜ロードショーで風立ちぬが放送された。
風立ちぬは実在の人物である堀越二郎をモデルにその半生を描いた作品だ。堀辰雄の小説『風立ちぬ』からの着想も盛り込まれている。
僕はジブリが大好きで、今までの作品は全て何度も繰り返し見ている。
特に宮崎駿作品に関しては数えきれないくらい見てきた。
ラピュタからトトロ、魔女の宅急便にもののけ姫、千と千尋、ハウルの動く城、崖の上のポニョに至るまで。僕はジブリとともに成長してきた。
そんな宮崎駿が生み出した異色の作品が風立ちぬだ。
今までの作品とは大きく異なり、実在した人物が主人公のモデルになっており、時代設定も第一次世界大戦から第二次世界大戦の戦時中の日本が舞台になっている。
今までのファンタジーとは異なり、極めて現実的な世界が描かれている。
そんな風立ちぬの中で僕が今もずっと心に留めている言葉がある。
劇中に何度も登場するイタリアの航空技術者カプローニが二郎にかけたこの言葉だ。
創造的な人生の持ち時間は10年だ。
設計家も芸術家も同じだ。
君の10年を力を尽くして生きなさい。
高校二年生の夏、部活が終わったあと、急いで映画館に駆け込み、公開日に風立ちぬを見た。将来の夢も何もなく、がむしゃらに部活に勉強に忙しく毎日を過ごしていた僕はこの言葉を聞いて衝撃を受けた。
以来、この言葉は僕の頭の中にずっと残り続けている。
創造的な人生は一体いつから始まるのだろうか。
僕は僕の10年を力を尽くして生きられるのだろうかと。
あれから数年、あのときは全く想像していなかったようなことをしていて、将来は本当に予測がつかないと我ながら思っているのだが、僕の創造的な人生は今まさに始まったという予感がしている。
文章を書き、みんなが楽しめるような企画を考え、実行に移す。
誰かに与えられた仕事をこなすわけではない。
自分の頭で考え、自分でスケジュールを立て、実行する。
今僕がやっていることはまさに創造的な活動ではないか。
創造的な人生の持ち時間は10年だ。
設計家も芸術家も同じだ。
君の10年を力を尽くして生きなさい。
遠くで鐘の音が聞こえる。
陽が沈んでもまだ部屋がほんのり暖かい。
春の訪れを感じながら、そんなことを考えた。
僕は僕の10年を、力を尽くして生きよう。
<参考記事>