<北欧一人旅前回の記事>
フロムは小さな街で、北欧らしい可愛らしい街並みが広がっていた。
ここに一泊する人もいるらしい。楽しそうだ。
さて、すぐに船に乗る。思いのほか小さい。
新しい船と昔からある船が選べたのだが、新しい方が値段が高く、到着時間も遅いため古い方にした。
すぐに船の中の椅子はいっぱい。外の席をなんとか確保した。
そして出航。
すぐに見えて来た。
フィヨルドだ。
これが夢にまで見た、死ぬまでに見たかったフィヨルドだ。
なんと壮大で美しいことか。
奇跡的に快晴。青空のもと、氷で削られた山が僕らを見下ろす。
そしてなんと気温が15度近くあった。温かい。
どこまでも続くソグネフィヨルドの雄大さに心奪われ、晴れ渡るノルウェーの空に叫びたい気分になった。
「すげえよノルウェー!!!」
ちなみに日本人は4人いた。どちらも30代くらいの男女で、せっかくなので話しかけて見たところ、休みをとって北欧周遊に来たとのことだった。
「一人旅なんてすごいですね」
と、自撮りをするしかなかった僕のために写真を撮ってくれた。ありがたい。
風を受けなびくノルウェーの国旗。
船はゴゴゴゴと音を立てながら、ソグネフィヨルドを進む。
ちなみに船の中には売店がある。が、フリーワイファイはない。
こんな感じでソファーがあったが、あっという間に中国人集団に占領された。
さらにさらに船は進み、2時間の船旅が終わりを迎えようとしている。
相変わらずフィヨルドは美しい。
日差しを受け、輝く緑。
青い空。白い雲。
氷で削れた山の合間を縫い、船は進む。
なんと自然の雄大なことか。なんと僕らの小さなことか。
ノルウェーの人々は、自然と共に生きているのだ。
険しい山々の合間に安息の地を見つけ、山と森と湖と海と共に生きている。こんな山奥にも人の暮らしがあり、文化があるのだ。
死ぬまでに見たかったソグネフィヨルドを満喫しきり、僕はここで船が沈没して死んでもいいって思えるくらい心から満たされていた。
やがて沈没することなく船は無事、グドヴァンゲンに到着。
ここからバスに乗る。リュックとウエストポーチとトートバッグだけの僕は何も預けず車内へ。
いざ出発。滝が見える。
かなり急勾配な山道だ。日本で言うならいろは坂。
急カーブを次々と華麗なハンドルさばきで降りていく。
無事山を降り、みんなで拍手。結構ヒヤヒヤするくらい急な坂だった。
そこからはひたすら平坦な道を行く。
ここで僕はぐっすり仮眠を取った。さすがに疲れたな。
目を覚ますと同時にヴォスに到着。
バスの乗客以外、誰も見当たらない、湖沿いの静かな街だ。
ここであのコペンハーゲンからオスロに向かった時、免税店で買ったビールで一人乾杯。
アルコールが身に沁みる。いい気分だ。
ここで再びベルゲン急行に乗り換える。
ヴォスの駅にはノルウェーに伝わる妖精「トロール」がいた。
しばらくして電車が到着。再びのベルゲン急行。
徐々に空が曇り始めた。川はこちらも流れが激しい。
1時間後、ベルゲンに到着。12時間に及ぶソグネフィヨルドツアー、これにて終了だ。
雨の街ベルゲンは、一年のうち晴れる日が数十日しかないらしい。この日もしとしとと雨が降っていた。さっきまでの快晴から一変していた。
僕はこの旅で、すでに死ぬまでにしたかったことを二つ叶えた。
一つは上海の街で、くるり「琥珀色の街、上海蟹の朝」を聴くこと。
もう一つがソグネフィヨルドを見ることだ。
たった一人日本を旅立ち、ついにその夢がかなった。
世界はなんと広いのだろうか。
写真で見るのと、生で見るのとは、全く違う。まさに天と地の差。
この目で見たソグネフィヨルドは、
想像の100倍大きく、1000倍美しく、10000倍感動した。
この光景を見るために、この感動を独り占めするために、僕は一人でここまで来たのだ。
ありがとうノルウェー。ありがとう。ありがとう。
一人胸を熱くしていた僕の右手には緑色のある袋が握られていた。
”what a HAPPY time!”
そしてホームの先には、僕を待つ一人のブロンド少女がいた。
日本から遥か8400km。なぜこの雨の街ベルゲンに僕を待っている少女がいるのか。
その謎の真相は、次の記事に譲ることにしよう。
<北欧一人旅続いての記事>
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