<前回の記事>
ホテルに荷物を預けた僕は電車に乗りマレーシアでもっとも豪勢な街、KLCC(Kuala Lumpur City Centre)に向かった。
地上に上がるともうすっかり大都会。高級ブランド店が立ち並んでいる。
緑が生い茂った超高層ビル。地震のない国マレーシアならではの建物だ。
ここに来た理由は二つ。一つはこいつに会うためだ。
マレーシアのシンボル、ペトロナスツインタワー!
高さ452mの世界最大のツインタワーだ。マレーシアの発展を象徴するこの建物。
観光客も多い。
タワーの正面にまでいき、近くの観光客に写真を撮ってもらう。
「このカメラいかが〜」
とスマホに取り付ける対応のカメラを売りつけてくる怪しげな人がたくさんいた。彼らに写真をお願いするとお金を要求されることがあるらしい。気をつけよう。
あたりを散策。まだ朝9時半ながら蒸し暑い。汗だくになりながら歩く。
想像したよりも大都会だった。出来たばかりの高層ビルが立ちな並ぶその様は東京以上と言ってもいい。
そうこうしているうちに10時になった。ここKLCCに来た理由はもう一つ。両替するためだ。
最初に空港で2000円分両替してからまだ市内では出来ていない。このペトロナスツインタワー内にあるスリアKLCCというショッピングセンター内にある両替所のレートがいいとネットにあったので観光ついでに来たというわけだ。
さすが高級モール。中も豪華だ。
目当ての両替所を発見。
ここで2万円両替してもらった。やはり空港よりレートがだいぶいい。並んでいる時に僕の後ろに並んでいた中国系の少年が話しかけて来た。修学旅行で来たらしい。財布から100ドルを取り出しだいたい何RMになるか尋ねられたので教えてあげた。こんな簡単な英語ですらまだスッということができない。もっと練習を積まねば。
両替を済ませ、外に出る。せっかくなので歩いて次の目的地ブキッ・ビンタンに向かうことにした。
ちょうど途中の道が高級ホテルが並ぶ地域で、グランドハイアットもあった。
六本木にあるハイアットだと一泊5万円もするが、ここマレーシアでは2万円で泊まることが出来る。
カップルに嬉しい話だろう。
他にもマリオットホテルなども軒を連ねる。
それにしても暑い。あまり日陰がなく、持って来た水をガブガブ飲んだ。おまけに日本から持って来たおにぎりとパンを空港で食べた以来まだ何も食べてないのでお腹が空いている。
暑さに空腹のダブルパンチで具合が悪くなりそうだ。途中、コンビニで涼みながら歩いた。
2kmのみちを30分くらいかて歩いてようやくブキッ・ビンタンに到着。
今回の記事はここからが本題だ。
ここにはどうしても行ってみたい場所があった。
皆さんは6月初旬にネットを騒がせたこの記事を覚えているだろうか。
Twitterでは”クールジャパン”がトレンド入りし、そのひどい実態について様々な意見が飛び交った。
この記事の概要はこうだ。
ークールジャパンを促進するCJ機構がマレーシアの一等地に10億円を公費を投入しジャパンストアを建てたが狙いは見事に大外れ。店舗には誰もお客がおらず閑古鳥が鳴いているー
僕が航空券を買ったちょうど次の週にこの記事が話題になり、行きたい場所リストにこの”ISETAN The Japan Store”を追加した。
それがこのブキッ・ビンタンにある。
メインストリートを歩いていると早速入り口を発見。
時刻は11時を周り、通りはたくさんの人で賑わっている。
この矢印に従い地下に降りる。
これがJapan Storeの入り口。
先入観を持たずに入ろうと思ったのだが、やはり人が少ない。僕が行った時は本当に誰もいなくて、店員さんが一斉に挨拶してきてなんだか気まずかった。
「いらっしゃいませー!」
という声も聞こえたので日本人店員さんか、日本語を話せる店員さんがいるのだろう。
日本の名産品を売るコーナー。やはり誰もいない。クールジャパンは本当に失敗してしまったのだろうか。
生果コーナーもやはり誰もいない。
行ったいなぜこんなにも人が少ないのか。
その理由はやはり値段にあると感じた。
この生果コーナーは撮影禁止だったので値段だけメモして来たのだが、佐賀県産の唐津温室みかんが約10個入りで499.99RM。日本円で1万5000円である。
高いっ。高すぎるっ!!!
伊勢丹ということもあり富裕層をターゲットにしているのだろうがそれでも高い。
なんてったって電車が50円で乗れて、300円あればお腹いっぱいになれるのだ。
そんな国でみかん10個で1万5000円は高すぎる。そりゃ誰も買わないわけだ。
隣接する日本食コーナーもガラガラだ。そろそろランチタイムが始まるというのに誰もいない。呑気に店員さんたちが談笑している。
日本食代表、寿司もこの有様である。誰もいない。
日本のお酒を扱う店舗。マレーシアはイスラム教徒が6割でムスリムはお酒を飲まないため酒税が高めに設定されており、物価が安いこの国でもお酒だけは日本と同じかそれ以上だ。
そこに日本から輸入した銘酒が店舗に並ぶわけだから安いわけがない。
とてもじゃないが買える値段ではなかった。
ファッションコーナーも同様にガラガラだ。やはり値段が高い。この国相場からすれば法外な価格帯だ。
うーん。やっぱりこの様子だとクールジャパンは失敗したと言うしかない。
11時を回った時点でこのお客さんの入りはかなりひどいと言えるだろう。
外に出ると、メインストリートはたくさんの人で賑わっている。この中の誰もJapan Storeに来ないとは...
確かに日本製品はクオリティが高いかもしれないが、マレーシアはすでに十分発展し、それと同クオリティの製品を自国で開発できるようになっている。
それに日本食の店はここ伊勢丹でなくとも街中に溢れていて、もっとお手頃な値段で楽しむことができる。
現地の人に、値段を抜きにしても伊勢丹Japan Storeでクールジャパン製品を買おう!という気にさせられていないのがこの敗因だろう。
僕は日本から来た身として少し悲しくなった。
クアラルンプールの強烈な日差しが、少しがっかりして肩を落とした僕の背中を照りつけた。
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