今回のタイトル、”映画「ミッドナイト・イン・パリ」はアート好きには堪らないおしゃれさで観たらパリに必ず行きたくなる。”
ご覧のようにめちゃめちゃ長い。
なぜ長いのか。
それは僕の感じた大いなる感動をタイトルに無理やり封じ込めたからである。それだけこの作品にはぞっこんになった。特にアート好きには堪らない名作である。
☆☆☆☆☆☆☆
物語の主人公ギル・ペンダーはハリウッドの売れっ子脚本家でありながら小説家に憧れ処女小説の執筆に悪戦苦闘中。
そんな中ギルは婚約者のイネスとその両親とでパリを訪れる。
芸術の都パリに憧れそこに住んで創作活動に打ち込みたいと思っていたギルだがイネスとその両親からはもう少し現実的な道を選んでほしいと意見が食い違う。
事実、ギルは1920年代のパリこそが自分が生まれるべき時代だったと懐古主義に浸る夢見がちな大人だった。
ご覧の通りなかなかのアホヅラをしている。
そんなパリの旅行中、イネスはかつて大学時代に夢中になっていたイケメンのスーパーエリート・ポールと再会。せっかくだから一緒に観光しましょうよとパリをともに観光する彼らだが、ギルは知識をひけらかすポールが気に入らずふてくされてしまう。
イネスがポールと踊りに行ってしまってひとりぼっちになったギル。
でも全然寂しくなんてない。なぜなら夜のパリは美しいから。パリの黄金期を支えた芸術家は皆、夜のパリからインスピレーションを与えられ、傑作を生み出してきた。
そんな妖艶なパリの夜に誘われ街を1人歩くギル。最初はセンチメンタルな気分で歩いていたもののワインの酔いが回ってきたのと持ち前の間抜けさからただの迷子に成り果ててしまう。
そんな中、0時を告げる鐘が鳴ると路地から一台の車が現れた。
ギルは酔いと疲れからか不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡が言い渡した示談の条件とは…。
なんて展開にはならずギルは言われるがままに車に乗り込み深夜にも関わらず大勢の人で賑わうサロンに連れていかれる。
新顔のギルを暖かく迎え入れるサロンの住人たち。なんだか現代では見かけないドレスを纏う人たちを不思議な気持ちで眺めていたギルだが、とりあえず楽しもうと近くにいた人たちに適当に自己紹介。
ところが彼らの名前を聞いた途端おったまげてしまう。
現実が飲み込めないギルだったがやがて自分はあの1920年代のパリにタイムスリップしてしまったことを知る。
名だたる芸術家たちの会話に混じるギル。もちろん話題は創作活動で持ちきりだ。そこで君は何をやってるんだと尋ねられたギルは小説を書いてる途中だと話す。するとこのサロンの主催者で現代文学と美術の礎を築いたとされるガートルード・スタインを紹介され、ギルの小説を読んでくれることになりギルはその後も深夜こっそり抜け出してサロンに足を運ぶようになる。
他にもピカソ、マティス、ゴーギャンなどなど誰もが知ってる画家が次々に登場し、芸術好きの僕には堪らない作品だった。
作品全体に流れるのんびりしたジャズも哀愁が漂い、パリの夜を包むアーティストの熱気とインセンティブな空気が伝わってくるようだった。(パリに行ったことがないので完全に想像ですが。)
昼間のヴェルサイユ宮殿やエッフェル塔も魅力的だが夜のロマンあふれる路地裏のバーやサロンの様子も堪らなくいい。本当にパリに行きたくなった。
僕は大学の授業で芸術系の一般教養を多く取っていたので大いにこの作品を楽しめた。月に一度は美術館に行くし著作もそれなりに読んだことがあり、実物にそっくりの出演者に興奮した。
話のネタのためにアートを学ぶのはちょっと違う気もするけど、知っていて損はない。実際ちょっと周りよりは詳しいおかげて年上の美術好きの人とか美大生と話す時も何とか話題についていける。
興味がある人はこんな本がおすすめだ。友達に譲ってもらった本で写真付きの解説が乗っていて西洋・日本美術史が一冊で概観できる。
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト
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僕は高校生の時からヘッセが好きで、車輪の下、デミアンは三回以上読んだことがあり、彼がこの映画に登場しなかったのは少し残念だった。
一方、映画に出てくるフィッツジェラルドは1920年代のアメリカを象徴するヒーローとも称された時代の寵児であり、彼の作品もまた華やかさを持つ一方でピークを過ぎ作品が売れなくなった頃の心の暗い部分も垣間見えるものになっている。
代表作「グレート・ギャッツビー」もおすすめだが、一回の量が少なく読みやすい短編集もおすすめだ。ぜひ読んでみてほしい。
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観た後に調べて分かったのだが、この映画の監督はウディ・アレンだった。彼は映画監督としてアカデミー賞に最多24回ノミネートされ監督賞を1度、脚本賞を3度受賞したことがあるアメリカを代表する映画監督だ。
ちょっと好みは別れるが一番有名なのはおそらく「アニー・ホール」だろう。
「ミッドナイト・イン・パリ」は実はウディ・アレン作品でもっとも売れた作品であり、アカデミー脚本賞も受賞している。
アート好きはもちろんのこと、パリに旅行しているかのような気持ちになれるユーモアあふれるおしゃれな映画だ。
Youtubeにある予告編もとてもいいのでぜひ観てみください。
それではみなさん、パリでお会いしましょう。