僕はずっとディストピア漫画が大好きで、作者独自の荒廃した世界の描き方が大好きだ。
火の鳥未来編、風の谷のナウシカ、AKIRA...色々なディストピア漫画を読んできた。
誰もいない世界でたった1人生きるサトル、蟲が支配する世界の真実を解き明かすナウシカ、ネオ東京で暴れる暴走族の金田と冷凍封印された超能力少年アキラ。
普通の少年漫画とは違う悲壮感漂うストーリーが僕を惹きつけた。
そんな数あるディストピア漫画のなかでもオススメできるが、
『セラフィム 2億6661万3336の翼』だ。
セラフィム 2億6661万3336の翼
今敏と押井守の未完作品 pic.twitter.com/elvppFkxOu
— 意識高い系中島bot (@Nakajima_IT_bot) 2017年1月18日
原作は攻殻機動隊の押井守、作画はパプリカの今敏が担当していた。
アニメ界の二大巨匠がタッグを組んだこの作品は、風の谷のナウシカに続く大型連載漫画として出版元のアニメージュから大いに期待されていた。
セラフィムのあらすじはこんな感じになっている。
21世紀初頭、ユーラシア大陸の深奥部で発生し、世界中に蔓延した天使病(セラフィム)。天使病は肉体の一部を変容させ感染者に強烈な幻覚を見せながら死に導く奇病である。天使病は瞬く間に広がり、それによって多くの国家が崩壊し、世界は壊滅の危機に瀕していた。各地で頻発する武装難民との衝突、浄化という名目で行われる悲惨な虐殺などで世界が混乱する中、天使病の発端を探るため、少女セラ、バスタザル、メルキオル、そして犬(バセットハウンド)のガスパルはタクラマカン砂漠を目指す。
(Wikipediaより引用)
この天使病に感染した人間は背中の骨格が変化し、常時幻覚にうなされるようになりやがて死に至る。
この天使病の謎を解明すべく2人のおっさんと天使病の秘密を解く鍵を握る少女セラと犬のガスパルとでタクラマカン砂漠を目指すのだが、いよいよこれからってとこで物語は幕を下ろす。
未完に終わった原因は押井守と今敏の意見の不一致。日本アニメ界を担う2人の天才の意見が食い違い、ついにまとまることがなかったのだ。
漫画は一時休載のかたちをとったが、結局再開することはなく、今敏の急逝により未完に終わってしまった。
僕がこの漫画と出会ったのは高校二年生の時だった。当時僕は図書室にあった漫画をかたっぱしから読んでいて、その時に出会ったのが風の谷のナウシカと火の鳥だった。どちらも世界観が圧倒的で、宮崎駿、手塚治虫が描く壮大な未来の世界にズッポリとハマった。特に風の谷のナウシカは映画とは全くストーリーが違う。映画より漫画の方が100倍面白いと自信を持って言える。
そしてさらなるディストピア漫画を求め僕が向かったのがヴィレッジヴァンガードだった。この雑貨屋は書店には置いていなマニアックな漫画を取り揃えていて、セラフィムもその一つだった。
骸骨のような人間に翼が生えた不気味で想像力を掻き立てられる表紙に一目惚れして購入。未完ではあるがナウシカを超えるようなインパクトを持った内容だった。結末を見ることができないのが非常に惜しい。
しかし今敏が亡くなった翌年、押井守が彼への追悼作品としてセラフィムの続きを小説として単行本化することが決定。小説のプロローグが2011年発売の月刊COMICリュウ三月号に付録として封入された。
だがなぜか2012年に刊行されたはずの小説版セラフィムがどこのサイトを当たっても見つからなかった。発売中止になったのかすら分からず、結局セラフィムの結末を知らずにいる。
もしどこかで見かけたら僕に教えて欲しい。
未完ではあるが好奇心が掻き立てられるストーリーなのでぜひ読んでみて欲しい。
セラフィム 2億6661万3336の翼(リュウコミックス) [コミック]
- 作者: 押井 守,今 敏
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/12/13
- メディア: コミック
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