<北欧一人旅前回の記事>
魔女の宅急便の舞台、ゴットランドを堪能した僕は、Visbyの外れにある宿に向かって太陽が沈みかけている町を歩く。
この一人旅全ての荷物を背中に背負い、えっちらおっちら。
なんと宿まで3kmも歩かなくてはいけない。どこかで夜ご飯でも食べようかと思ったがそもそもお店が少ないし日没も近い。この小さな島のことだから町外れには街灯もないはずだ。悪い人なんてこの美しい島には住んでいないだろうけど、それでも暗闇は怖い。
調べると近くにスーパーがあった。そこへ寄って夜ご飯を買うことにした。
あった。ストックホルムにもあったスーパーだ。名前はICA。
こんな感じでお肉とか
他にもお菓子が置いてある。かなり大きなスーパーだが人でいっぱいだった。ゴットランドの人口は約6万人。他にもスーパーはたくさんあるが、このICAが彼らの生活の大切な一部であることは間違いない。
つまみを買い、ついでにお土産の北欧のチョコをいくつか買った。
そして向かった先は、待ってましたお酒のコーナー。
何を飲もうか胸が高鳴る。
が、しかし、ここでスウェーデンのお酒事情が絡んでくる。
みなさんご存知だろうか。
スウェーデンには独自のお酒の規制があるのだ。
なんとアルコール度数3.5%以上のお酒は政府が認めているシステムボラゲットというお酒の専門店でしか買うことができない。ストックホルムではこのシステムボラゲットというお店がチラホラあった。
そして自由に認可なく売買できるのはアルコール度数2.25%未満のものだけ。
2.25%以上3.5%未満のものは認可を得たお店でしか販売できない。しかも買えるのは夜の8時まで。それ以降はお酒を飲むならバーに行くしかない。ただ北欧はお店でお酒を頼むとべらぼうに高い。実際、この記事で紹介したゲームバーでコロナビールを頼んだら一本800円もした。なんてこった。
ここに並んでいるお酒はほとんどがアルコール度数2.25%未満!!!
ほろよいより弱い!!!
その分値段は安いんだけど、それでも日本と比べたら高い。
仕方なくアルコールの弱いお酒を大量に買った。お土産とおつまみ、パンと合わせて一気に荷物が増えた。最後の一息だ。宿に向かって3kmの道を歩く。
街の外れは静かな住宅地が広がっていた。人はほとんどいない。
Google Mapにしたがってひたすら歩く。途中公園のような森を突っ切った。
日が沈まなうちに通り抜けなくては。
そして森を脱出。閑静な住宅街に出た。今日の宿はここにある。
北欧一人旅最後の宿はAirbnbだ。僕自身Airbnbを使うのはこれが初めて。
心配性の僕はホストの方と何度か連絡を取り、場所とチェックイン、チェックアウト時間を何度も確認していた。
お家に到着。予定時刻5分前きっかりについた。
すると中からいかにも北欧といった感じの背の高い人の良さそうなおじいちゃんが登場。早速中に入れてもらい、英語で説明を受けた。80歳は超えているだろうか。玄関の奥にはリビングがあり、扉の前には椅子が置かれていた。こっから先は彼らの空間、こっから手前は僕の宿ってことなのだろう。
そしていざ入室。あまりの綺麗さにびっくりした。
ホテルじゃん!!!
正直いってAirbnbをなめていた。人の家に泊まるんでしょ?しかもホストおじいちゃんだし。絶対しょぼいじゃんwwwなんてバカにしていた。ごめんなさい。
一泊5000円とそこは北欧価格だが、十分その価値はある。WiFiもあるしテレビも冷蔵庫もある。シャワーも超綺麗。おまけに洗濯できますかと聞いたら洗い物を預かって綺麗にしてくれた。感動。なんてすごいんだAirbnb。日本では規制が厳しいらしいがそんなくだらないことにこだわっている場合ではない。絶対Airbnbやろう。そう決意した。
シャワーを浴びる。Couchsurfingのおかげで初日のデンマークのゲストハウスとこの最後の日以外は無料で泊まれたが、Airbnbもとても良い。
日本から持ってきた小さな容器につめたシャンプーやボディソープを使い切る。今までありがとう。身を清めた僕は冷蔵庫で冷やしたお酒とつまみを取り出し、ベッドに腰掛けた。
最後の晩餐の始まりだ。
よくわからん北欧のビールのフタをあけ、ハムを素手で掴み口に入れる。アルコール2.25%もないので全然酔えないが、とりあえず酒を飲みまくる。
一本、二本とビールをあけ、大量に買ったハム、ポテチ、チーズをむさぼる。
三本目のあたりで酔いが回ってきた。
試しにテレビをつけてみる。もちろんスウェーデン語なので意味は分からない。
なんとか飲み干し四本目へ。2.25%でも2L飲めばさすがに酔えることが分かった。視界が徐々にぼやけ始める。ぐるぐるぐるぐる。
やっとのことでビールやハムの残りを冷蔵庫にしまい、歯を磨いてベッドに入った。時刻は23時。窓から月が見えた。
昨日はこの月を、ストックホルムから眺めていた。
四日前はこの月を、オスロから眺めていた。
七日前はこの月を、コペンハーゲンから眺めていた。
いい旅だった。
1人でこの北欧を訪れた僕の選択は正しかった。
ありがとう。ありがとう。またいつか遊びにくるよ。
明かりを全部消し、目覚ましをかけ、僕は横になった。静かになく鳥の声を聴きながら、北欧最後の夜、気持ちのいい眠りに僕は落ちていった。
<北欧一人旅続いての記事>