<前回の記事>
ウォンと別れ深夜一時にホテルに着いた僕はそのまま朝まで眠り続けた。
翌朝7時。目覚ましが鳴る前に目が覚めた。僕の唯一の得意技の早起きは海を超えても健在らしい。もっともマレーシアと日本の時差は1時間しかない。時差ボケがないだけでもだいぶ楽だ。
早速荷物をまとめ街を散歩することにした。
昨日降ったスコールのせいか、少し涼しい。
昨日アレンたちに案内してもらったムルデカスクエアを通る。
その先には観光地によくあるフォトスポットがあった。
アレンの説明を思い出しながらチャイナタウンへ。
マレーシアの朝は遅く、朝市という朝市はないらしい。この通りチャイナタウンも朝8時半の時点では静まり返っていた。
メインストリートの途中にある細い路地に入ると怪しげな市場があった。
地面に布を広げその上にスマホやらカメラやらを並べ売っている。ありえないくらい安い。こんなもの買って大丈夫なのだろうか。
押し売りを交わしながら南へ。
ホテルのある駅から一駅隣のPasar Seni駅に着いた。
お腹が減ってきたので近くにあったお店に入る。
マレーシアの代表的な料理 Roti Canai(ロティチャナイ)を注文。甘みのある何みたいな生地とカレーみたいなソースと赤い香辛料が付いてきた。飲み物はもちろん、激甘のホワイトコーヒー。全部で200円ほど。
決して綺麗なお店とは言えなかったが味は良い。ソースはカレーとも違う独特な風味だった。相変わらずコーヒーは甘いがもう慣れてきた。
さすがにこれだけでは足りず近くにあった同じような店に入る。
おっさんたちがワールドカップのハイライトを見ていた。そう言えば昨日ウォンと飲んでいた時はワールドカップの試合の真っ最中でそれをみて盛り上がっている人もいた。マレーシアの国民的スポーツは何か聞いてみるとバドミントンと彼は答えた。
サッカーや野球はまだ流行っていないらしい。
店員さんにメニューはあるか聞いたところ、そんなものはないと言われ困ってしまった。仕方ないのでオススメを頼む。さっき食べたばかりなのでロティチャナイじゃない料理で頼むと伝えた。
すぐに料理が運ばれてきた。
おいっ!!!ロティチャナイじゃないのって言ったよな!!!
仕方ない。僕の英語が下手くそだったのだろう。
二度目のロティチャナイも美味しい。さっきとはまたソースの味が違っていて飽きない。一緒に頼んだレモン系のフレッシュジュースも美味しかった。笑っちゃうくらい甘かったけど。
二度目の朝ごはんを済ませ目当ての場所に向かう。
二日目の今日は一人旅らしく観光をしようと思っていた。まず向かうのはNational Mosque(国立モスク)。
駅を超えて遊歩道を歩く。
驚いたことに道の隅っこで大麻を吸っているおっさんがいたのでこっそり撮影してしまった。
小さな袋から大麻を出して紙に巻いていたのでジョイントというタバコみたいに吸うやり方らしかった。
実は昨日もウォンの友達に”弘、お前は○×△やったことあるか?”と聞かれ○×△の部分が聞き取れずスマホを渡してググってもらった。
すると彼は大麻の画像が所狭しと並んだ検索結果を僕に見せつけ、
”良いか。マレーシア人は飲んで飲みまくって大麻を決めてクラブで夜通し踊り狂うんだ!”
と教えてくれた。さすがに試したことはないよというと”どのくらいクアラルンプールにいるんだ?一週間もあれば手に入るよ”と言われたが残念、もう明後日には飛行機に乗ってしまう。大麻童貞を捨てるのはまたの機会に取っておこう。
(ちなみにマレーシアでは大麻の取り締まりは非常に厳しく、持っているだけで極刑に処されるらしいです。あいつら死ぬなよ!)
そんなこんなでマレーシアのでディープな面も見られた。
途中、トイレに行きたくなったので探していると、有料トイレを発見。
実はマレーシアのトイレにはほとんどウォシュレットが付いていない。その代わりにこいつが付いている。
これはホテルのトイレの写真なんだけど、こんな感じでマレーシアのトイレにはホースが付いている。なんとこれでお尻を洗うのだ!!!
そのせいで街中のトイレは水でビッショビショ。おまけにトイレットペーパーはない!!!
(ホテルのトイレには付いていた!とても助かった!)
さあこのトイレはどうだろうか...使用料3円をおばちゃんに払って中に入ると愕然。アホみたいに汚い。
目を背けながら写真を撮っては見たもののブログにあげられないレベルで汚い。
床は水でビッチャビチャ、まさかのホースはなく、大きなバケツに入った桶で水をすくう形式だった!!!ありえない!!!
さすがにドン引きした僕は気を取り直してモスクへ。
幾何学模様が美しい。まだ朝早いこともあり人は少ない。
観光客用の入り口からモスクの中へ。裸足になって入る。
長い廊下。物音一つしない。
ムスリムしか入れない場所。暑さ対策のため扇風機が回っている。
柱の森に迷い込んだようだ。天井から漏れる朝日が眩しい。
モスクを後にし、寄り道しながら駅へ。
歴史を感じさせる建物が並んでいた。
駅に到着。次の目的地は電車で30分のところにある。
乗りたい電車が違うホームで困っているとヨボヨボのおじいちゃんが話しかけてきて助けてくれた。
僕の半分くらいの背しかないおじいちゃんは曲がった腰でヨタヨタ歩きながら僕を案内してくれた。
英語は苦手らしく、僕は身振り手振りで行き先を伝える。
おじいいちゃんの案内についていくと目的のホームにたどり着いた。ありがとうおじいちゃん。お礼をいうとニコッとしてまたヨタヨタと元来た道を戻っていった。
この国の人は皆親切だ。
ホテルの兄ちゃん、ウォンとその友達、そしてこのおじいちゃん。みんなこんなどこの馬の骨ともわからない青二才に優しくしてくれる。遠ざかるおじいちゃんの背中に手を振りながら、僕は温かい気持ちになった。
今回乗る電車はKTMというちょっと速い電車で、それに乗ってここから20km北のバツー洞窟という所に向かう。
電車はとても綺麗で空いている。ちなみにマレーシアの飲食は厳禁である。
街を抜け一気に景色が郊外に変わった。背の高いビルは少なく、古い民家や畑が目立つようになって来た。
久々に見た緑に心が安らぎ、気がつくと眠っていた。
到着と同時に目が覚めた。
電車をおり少し歩くとバツー洞窟の入り口に着く。
大きな像が待ち構えている。彼と同じポーズをして写真を撮ってもらった。
この時撮影を頼んだ観光客がたまたま日本人だった。
思えば空港を出てから一度も日本人に遭遇したことがなかった。1日ぶりに日本語を話した。
相手は僕を韓国人だと思っていたらしく日本人とわかると驚いていた。彼らも”日本人全然いないですよね〜”なんて言っていた。
そのさきにバツー洞窟へと続く階段があり、約43mもの高さを誇る世界最大のムルガン像がお出迎えしてくれる。ムルガンは最高神シヴァの次男でヒンドゥー教の軍神である。いわばマレーシアのパワースポットだ。
洞窟はこの272段の階段を登った上にある。
傾斜がきつい。ヨーロッパ系の太ったおじさんたちはもう無理だと言って階段に座り込んでいたりした。気温もぐんぐん上がり30度近く昨日の雨が蒸発し蒸している。無理もない。
おまけに雨まで降って来た。僕は先を急いだ。
やっと頂上に到着。洞窟の中にはいろんなヒンドゥー教の神様の像が飾られている。
絶賛工事中でドリルの音が高い天井に反射し鳴り響いていた。
さらに奥へ行くと小さな建物があり、職人らしき方が色を塗っていた。
洞窟の一番奥で天井は途切れ、空が広がっている。
ぽっかり空いた穴から雨が降り注いでいる。
壁の高さは20mはあろうか。神秘的な光景であった。
昨日参拝した寺院同様、ヒンドゥー教徒は裸足で歩いていた。
洞窟内はいたるところが工事中でそこら中にレンガとかコンクリートが散乱している。怪我したりしないのだろうか。
見学を終えた僕は階段を降り電車に向かった。
このバツー洞窟はご覧のように野生の猿が山ほどいる。
ちなみにこの猿、すっかり人間に慣れており、観光客の食べ物をひったくったりするので注意が必要である。
猿をかわして駅へ。このバツー洞窟から帰る電車は1時間に一本くらいしかないので注意が必要だ。
電車に乗りKLセントラル駅へ戻る。
地球の歩き方でオススメされていたお店でビリヤニを食べた。
ビリヤニは米を肉や野菜、スパイスと一緒に炊きあげた炊き込みご飯の一種だ。
僕が頼んだ羊肉のビリヤニはゴロゴロお肉が入っていてアッツアツでとても美味しかった。ぜひ食べて見てほしい。(言わずもがな頼んだコーヒーはゲロ甘買った)
そのままKLセントラル駅直結のNu Sentralというショッピングセンターを散策。
カフェで一休みしてVR体験をした。
一回10RM、日本円で約300円と安い。クオリティも高く一人でウォーッと騒いでしまった。
観光客としては間違ったお金の使い方だが、思いの外マレーシアの物価が安くRMが余りそうだったので試して見た。
最後にスーパーで足りなくなってきた水を買い、一旦ホテルに帰った。
ホテルに着いたのは午後4時前。実はこのあと、ウォンと再び会う約束があるのだ。
昨日の別れ際に交わした約束の通り、今晩は寝させてくれないらしい。
今日は結構一人で歩き回っていたので少し休憩を取らないと。
スマホ、ポケットWiFi、携帯充電器を一斉に充電し僕は眠りについた。
この一人旅は二泊三日の弾丸旅行。
今晩はマレーシア最終夜だ。
夜の戦いに備え、僕は眠りについた。
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