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東京は梅雨が明けたが、先日は台風が接近し雨が降った。日本の夏は蒸し暑い。
僕は夏が苦手だ。
日差しも強いし湿度も高い。歩くだけで汗ばむし満員電車は蒸し風呂みたいだ。夏祭りとかは好きだけど、それでもあんまりにも暑すぎる。
東京から遥か5300キロ。大陸からちょこんと突き出したマレー半島に位置する国マレーシア。この国の平均気温は約30度。日本にも負けないくらいの蒸し暑さが一年中続く。そんな国に僕は降り立った。
午前5時半。着陸30分前に目が覚めた。起きてそっと窓の外を見るとまだ暗い。日は昇っていないようだ。着陸態勢に入ると機内の人が目を覚ましだした。まもなく着陸した。荷物をまとめ外へ出る。まだ日は昇っておらず、空港内はエアコンが効いていてとても涼しい。
入国手続きには長蛇の列ができていた。僕は30分以上並びようやく審査を終え、入国。クアラルンプール国際空港は成田空港と同じで首都のクアラルンプールからはかなり遠い。空港からクアラルンプール中心部まで60キロ。向かうにはバスや電車に乗る必要がある。
そのためにはお金が必要なのだが僕はまだ現地の通貨を持っていない。そこでまず両替に向かうことにした。
入国審査の待ち時間に調べてみてわかったのだが、どうやら空港から市街地へはバスが一番安いらしい。表示を頼りにバス停に向かう。
時刻は6時半。早朝の空港は人が少ない。
入国してさっさと1人で歩いて来たため、同じ飛行機に乗っていた日本人も追い越してしまった。周りには日本人らしき人は誰も見当たらず、中国人らしき一行が中国語で大声で話していたり、ヒジャブを着けたムスリムの女性店員が眠そうにオープン前の準備をしている。海外に来たという実感が増してきた。
しばらく歩き回ったのち、なんとか両替所を見つけ現地の通貨をゲットした。空港はレートが悪いので2000円分だけ両替。
まずコンビニで水を買った。調べてみたのだがやはり水道水は飲めないらしい。
そのままバス停らしきものを見つけ外に出る。暑い。まだ朝なのに暑い。車が出す排気ガスのせいもあるんだろうけど蒸してる上にガソリンの臭いが充満している。
バスを見つけたがどこでチケットを買ったらいいかわからず、バスに乗り込もうとしていたヨーロッパ系の男性に聞いてみる。いまちょうど通った出口の近くにあるらしい。
こんな感じで普通に話しかけられたのは 英語の勉強をそれなりにしたのと、 クラブで遊んだりした経験のおかげだ。一人旅はコミュ力が命と聞いたことがある。分からなければどんどん聞くしかない。
売り場を見つけてチケットを購入。
マレーシアの通貨はリンギット(RM)というものだ。1RM=約27円(2018年7月5日17時時点)だ。この旅では簡単のため1RM=30円で計算しよう。
スカイバスというバスが一番人気らしかった。お値段12RM。日本円にして360円。これで60キロの距離を一気に走ってくれるというのだから、安い。
チケットを持ってバスに向かう。無愛想な運転手が無言でチケットを受け取り、こちらを見向きもせずにちぎって半券を返す。あまり綺麗とは言えないバスだがクーラーは効いており座席も広く、乗客も五人ぐらいしかおらずとても快適だった。
定刻通りにバスは動き出した。マレーシアの治安はあまり良くないらしく、街中ではスリに気をつけなければいけないとのことだった。しかし僕は6時間のフライトを終え、まだ疲れが残っていて眠かった。隣には誰も座っていないし大丈夫だろう。荷物を抱えながら眠りについた。
30分ほどたって目が覚めた。窓の外を見ると景色はさっきまでと一変。空港を出てすぐは荒地しか見えなかったのにいつの間にか窓の外には高層ビルが立ち並び、車がビュンビュン追い越していく。
バイクにはなんと3人乗りで走っている人もいた。しかも前後2人は幼い子供。危ない。
ビルの数も高さもどんどん増し、クワラルンプール市街地にバスは入る。近代的なビル街を走ったかと思いきや、怪しげな街並みが続いたり。外を見ていて全く飽きない。
15分ほどしてKLセントラル駅に着いた。この駅はクアラルンプールの交通の拠点で、様々な電車、バスが出入りしている。
バスは駐車場のようなところに停車した。外に出るとさっきよりも暑い。車内はクーラーが効きすぎて寒いくらいだったが、降りてすぐに汗が出て来た。
そのまま電車に乗り換え、まずホテルに向かう。平日ということもあり通勤ラッシュにぶち当たってしまった。駅は人で溢れかえっている。
なるほど、面白い。マレー系の人が歩いてるかと思いきやヒジャブを巻いたイスラムの人が列をなし、かと思いきや額に赤い印、ビンディをつけたヒンドゥー教徒が券売機に殺到している。そのクアラルンプールの朝の通勤ラッシュの忙しさにあっけにとられたヨーロッパ系の観光客があたふたしているのが対照的だった。
ホテルまでの電車を調べ券売機へ。
こんな感じの機械で買った。目的地まで3駅、3km、1.6RM、日本円で48円。安い。出てくるのはチケットではなくコインだ。
中心部ということもあり駅も綺麗だ。時間通りに到着し、車内は混んでいたがクーラーが聞いていて快適。申し分ない。
目的地のMasjid Jamek駅についた。駅から見えたジャメモスク。
美しい。国民の6割がイスラム教徒のこの国ではこういったモスクがいたるところに見られる。
駅から徒歩2分のところにホテルはある。信号は日本と同じシステムだが誰も青になるのを待たない。海外らしい。
駅前では小さな朝市があった。
今回泊まったホテルはBIG M HOTEL
Booking.comで予約した。毎回海外旅行の際にはこのサイトで予約をしている。写真も豊富で口コミも多いのでとても参考になる。
素泊まり二泊で200RM、日本円で6000円。
一泊3000円なので安いほうだろう。
チェックインは14時の予定だったがフロントで事情を話すと快くチェックインさせてくれた。このフロントのお兄さんが本当に優しくて一瞬で虜になってしまった。僕の拙い英語にも丁寧に対応してくれた。
僕のフロアにはなんとアイロンが置いてあった。誰でも使っていいらしい。なんと便利なことか。
部屋に入ると1人で使うのにも関わらずベッドが二つ用意されていた。テレビもあるし金庫もある。とても清潔だ。
洗面所も綺麗だった。この値段でこのクオリティなら
文句のつけようがない。素晴らしい。
灼熱のクアラルンプールをこれから1人歩き回るために荷物を整理。
胸が高鳴っている。
空港からホテルまでただバス、電車を乗り継いで来ただけだが、すでにこの国が好きになってしまった。
街に溢れるいろんな言語。英語に中国語にマレー語。そして多種多様な民族に、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、キリスト教、様々な文化が入り混じった街中の景色。
コンビニの店員は無愛想で「来たなこの野郎」って目で睨みつけて来た。そうかと思いきや、ホテルのお兄さんは懇切丁寧。朝市のおばさんは知らない言葉でガンガン売りつけてきた。
この活気、熱気、雰囲気。どれをとっても新鮮だ。
期待に胸が膨らむ。
財布、水、ポケットワイファイ 、ウェットティッシュ、地球の歩き方をショルダーバッグに詰め込み、僕はホテルを出た。
すっかり太陽は登り、日差しが顔を照りつける。
よっしゃ。
クアラルンプールの空を見上げ、1人呟く。
そしてこれから始まる冒険への一歩を、僕は踏み出したのだった。
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