ーいいか中島、リーダに必要な素質は”4つのE”だ。
ー4つのE?
ーそうだ。4つのEだ。お前が4つのEを全て持てば、いいチームができ上がる...
ー先生、その4つのEって、一体なんなのでしょうか...?
ー教えてやろう。最初のEは...
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僕は中学時代野球部の部長を勤めていた。その時、顧問の先生から言われたのが、リーダーになるなら4つのEを守れということだった。この4つのEのことがなかなか思い出せなかったのだが、最近偶然にもこの4つのEと再会を果たしたのだった。
本屋で偶然手に取った有名なビジネス書、ウィニング勝利の経営にその言葉は載っていた。あの時顧問が言ってたのはこのことだったのかと小さな感動を覚え、すぐに購入したのだった。
著者のジャックウェルチは20世紀最高の経営者と称される伝説の男だ。
彼の経営手法は「選択と集中」で有名だ。
世界で1位か2位になれる事業だけに経営資源を集中し、それ以外の事業は他社に売却して撤退する。
この徹底した利益を追求する事業展開により、ゼネラルエレクトリック社(GE)のCEOに就任すると瞬く間に売り上げを伸ばし、GEを世界最大級の複合巨大企業に育て上げた。
彼によると、会社が採用すべき将来リーダーになる素質がある人材には4つのEが必要だそうだ。
最初のEはEnergy
行動を生きがいとし、変化を好み、朝から晩まで働いてもピンピンしてるエネルギー。それがまずリーダーに求められる素質だ。仕事が好きで好きでしょうがなく、外向的で楽観的な、遊ぶこともド派手にするような人が良い。そういうエネルギーに溢れた人たちは人生を愛する人たちなのだ。
第二のEはEnergize
これは周囲の人にエネルギーを吹き込む能力のことだ。リーダーは自分がまずエネルギッシュなことが必要だが、その活力を周りに伝播させる人間でなければならない。自分と同じようなにパワフルな人間でチームが構成されれば、不可能な事業を成功に導くことができる。
第三のEはEdge
これはイエスノーを決めにくい事柄にズバッと決断を下せる能力のことだ。確かに世間は白黒つけられないことばかりで、頭のいい人は色々な角度から詳細に物事を検討しようとし、塾考を続ける。しかし現場で求められるのは全ての情報が揃わなくても厳しい判断をその場で下す能力だ。
決断を下すのをためらう人は組織を宙ぶらりんの状態にしてしまい、経営がうまく回らなくなってしまう。
第四のEはExecute
最後のEは仕事を実行する能力だ。実は最後のEはジャックウェルチが後から付け足したもので、当初彼は先述した3つのEだけを重要視していた。しかし3つのEだけを持った将来性大と見込んだ人材は、いざ仕事を始めるとなかなか目立った業績をあげられない者が多かった。そこでジャックウェルチ は、リーダーの素質に足りないもう1つのE、Executeを見落としていたことに気が付いたのだ。
結局のところ勝つということは結果を出すことと同義だ。いくら理想的なビジネスプランを考えついても、実行に移し結果を出さなければ意味がない。
3つのEに加え、最後のEまで兼ね備えた人材がはじめて成功を手にすることができるのだ。
そして最後に見るポイントとして、ジャックは1つのPをあげている。
それはPassion ”情熱”だ。
本当に仕事に熱中し、同僚、部下、友人の勝利を心から願う熱い魂のある人間が最後に成功する。もちろんこれは仕事だけじゃなく、スポーツや映画や歌手に熱狂し没頭するような何にでも情熱的になれる人が望ましい。何にであれ、生きるのが大好きな人でいよう。
というのがジャックウェルチが掲げるリーダーに必要な素質だ。
冒頭で紹介した僕が野球部の部長をしていた頃に話を戻そう。その時は4つのEがなんだか知らなかったが、もしこれを知っていたら多少なりともチームマネジメントに活かせていたと思う。というのも、僕は部長として十分なリーダーシップを発揮する事ができず、非常に苦い経験をしたからだ。
僕は何度もこのブログで紹介したように、リアルROOKIESな荒れ狂った中学校で育った。
もちろん野球部もやんちゃな奴が多く、先輩は至近距離で後輩の顔面にボールを思いっきり当て退部処分になり、部室でタバコを吸ってた先輩は推薦を取り消され高校にいけなかった。同期にバットで引っ叩かれ、怪我をしたこともあった。
部長を任された時もとても不安だったし、最初は我慢強く部員と付き合っていたものの次第に限界が訪れ、結果として団結力のない個人技が目立つチームになってしまった。
当時を振り返って4つのEに基づいて自分のマネジメントを省みると、やはり4つのE全てを全く満たしていなかったと思う。
まず部長になりたての頃に抱いていた”俺がこいつらをまとめて地区大会で優勝してやる”というエナジーが、全くいうことを聞かない部員の面倒を見ているうちに失われてしまった。
その根底には”自分は悪くない”という責任転嫁があったと思う。
僕は言ってみれば超優等生として中学時代を過ごした。先生からは気に入られ、部活がうまくいかなくても”中島は悪くない。お前はよくやってるよ。悪いのはお前に従わないあいつらだ。”と慰められ、自分は正しいのだと言い聞かせた。
そんな仲間を信じていない状態で周りをEnergizeできるはずもなく、チーム全体がやる気を失い、ただ放課後グラウンドに集まり時間までだらだらと練習をし、先生がきたらしっかり練習していたふりをするようなダラシのないチームになってしまった。
今思えば頼りがいのないキャプテンだったと思う。
もしこの先リーダーになる機会があればこの4つのEを意識してチームをまとめていこうと思う。それに大学生はリーダになるチャンスが多い。
僕が思うに大学は同じレベルの人が集まるコミュニティなので、ずば抜けて能力が高い人がいないためこいつがリーダーだ!っていう人がいないように思える。そういう状況だからこそ誰がリーダーをしてもいいのでチャンスが多い。
グループワークにプレゼン、インターンなど、規模は小さくてもリーダーになる機会はたくさんあるはずだ。今のうちにリーダーになる経験を積んで、同じ轍を踏まないようにしたい。
ちなみにこのウィニング勝利の経営は、リーダーシップだけでなくビジネス全般についてかなり詳しく書いてある。モチベーションのあげ方から部下上司との正しい付き合い方まで幅広く扱っていて読んでいて飽きなかった。
20世紀最高の経営者が書いた最高のビジネス書と称されることも多いので、ぜひ読んで見てください。
- 作者: ジャック・ウェルチ,スージー・ウェルチ,斎藤聖美
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