簿記、宅建、公認会計士...この世には数え切れないほどの資格がある。
中でも人気の公認会計士は、資格取得まで平均2-4年かかると言われ、平均年収は926万円にもなる。(平成27年度厚生労働省賃金統計調査より)
しかし世の中には、公認会計士を超える難易度で、さらに年収もより高い、最高難度の資格がある。
それが”アクチュアリー”だ。
アクチュアリーになるには平均8年かかると言われ、平均年収は1500万円と言われている。
アクチュアリーとは
アクチュアリーの仕事内容は、数理業務のプロフェッショナルとして、統計学などの金融工学の数理的知識や経験を駆使して生命保険商品や損害保険商品などの金融商品を設計する仕事を行うといった数学を駆使した業務だ。それに必要な資格がアクチュアリー資格であり、試験を受けて合格しなくてはならない。
合格までの果てしない道のり
アクチュアリー試験には一次試験と二次試験がある。
まず一次試験の数学、生保数理、損保数理、年金数理、会計・経済・投資理論の全てに合格することで”準会員”になることができる。
(ちなみに1科目合格すると”研究会員”になれる)
そして二次試験の生保コース、損保コース、年金コースのいずれか二科目に合格し、研修を受けることで、晴れて”正会員”になることができるのである。
ここまで書くとなんだ楽勝そうじゃんと思うかもしれないが、下の各試験の合格率をみて欲しい。
平成23年度
第1次試験
・数学:11.1%
・生保数理:12.6%
・損保数理:10.5
・年金数理:8.1%
・会計・経済・投資理論:20.5%
第2次試験
・生保1:12.0%
・生保2:22.0%
・損保1:10.8%
・損保2:12.4%
・年金1:9.7%
・年金2:10.9%
どの科目も合格率が低い上、高度な専門知識を持った受験生が必死に勉強を続けた上での数字だ。いかに難しいかがお分りいただけるだろう。
試験は年に一度、12月に開催される。一次試験の五科目全てを受験することも可能だが、五科目全て高度な知識が求められるため現実的ではない。そのため一年に多くても二科目が一般的とされている。
さらにアクチュアリーの難しい点として、専門の予備校や教材が十分でないという点が挙げられる。公認会計士はTACや大原など大手資格予備校が徹底的にサポートをしてくれるが、アクチュアリーは受験者数、資格保有者ともに少ないため、教えて欲しい人、教えられる人が足りていない。勉強をする際には自分で書籍を探し、過去問を解きながら独学で進めるしかないのだ。
さらに二次試験では、知識問題の他に高度な論述問題が課されるため、難易度がグンと上がるのだ。
受験資格
アクチュアリー試験を受験するには、大学を卒業している必要がある。ただ大学3年生で62単位以上を取得している人や、高専の卒業生、生保数理などの仕事に三年以上携わった人は書類を提出すれば大卒じゃなくても受験することができる。
特にすることがなくて何か資格が欲しいと思っている理系の大学3年生は腕試しに受験してみてはどうだろうか。一次試験の”数学”はこんな感じで統計を勉強していれば解ける問題が多い。
もちろんもっと難しい問題もある。アクチュアリー公式サイトに過去問が載っているのでぜひみてみて欲しい。
ただ大学時代にアクチュアリー正会員になるのは極めて稀で、多くの受験生は会社に勤める傍、仕事の合間を縫って勉強をしている社会人だ。やはり学生に比べると時間が割けないため、一年に1科目が限界であることが多い。これも平均取得年数が異様に長い要因の一つだろう。ただ二次試験は実務経験がないと合格が厳しいため、実際に数理業務に携わって経験を積んだ社会人のほが有利になる。
アクチュアリーは数学科の学生に人気だ。一般的に就職が厳しいと言われている数学科(もうだいぶ違うと思うけど)だが、アクチュアリー試験においては大変有利だ。アクチュアリーは数学の試験と言っても過言ではない。実際にアクチュアリー正会員になった人の公演を聞いたことがあったが、彼も数学科出身で、コンサルで働きながら勉強したということだった。
もちろんアクチュアリーは理系だけの仕事ではない。合格者には文系出身者も数多くいる。大学によっては保険数理の授業を開いてるところもあるので取るといいと思う。
勉強したい方には入門編としてこちらの参考書がオススメだ。
僕もアクチュアリーを受験しようと思って一冊買ったのだが、問題が100問あり、後半では保険数理を扱っている。あとで調べてみてわかったのだが、アクチュアリー受験を考えている大学生に最適の入門書らしい。色々なサイトでオススメされていた。
知名度の低さ
ここまでアクチュアリーについて書いたが、かなりの高年収にも関わらずその難易度から日本での知名度は異様に低い。大学で友達に聞いてみたところ、20人に1人しか知らなかった。
実際に会員数も少なく、公式HPによると
2015年3月31日現在で正会員1,514人、準会員1,287人、研究会員1,949人の計4,750人しかいない。
公認会計士が準会員も含めると2017年末で計36,302人いることを考えると、アクチュアリーはかなり希少だ。そのため企業に引っ張りだこで、必然的に年収も高くなる。
外資では年収2000万を超える例も珍しくないらしい。
アクチュアリーは数学が好きで年収の高い仕事に就きたい人にぴったりの資格だと思う。確率・統計はどこに行っても役立つと思うので、ぜひ勉強してみてはいかがだろうか。
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