東京事変『三十二歳の別れ』という隠れた名曲

 

音楽との出会いはいつも唐突で、僕が椎名林檎を知ったのは、何かのCMで彼女の楽曲が流れており、その歌声に惹かれたのが始まりだったと思う。

 

そこから椎名林檎の曲を聴くようになり、『東京事変』を知った。2012年に解散した東京事変だが、『群青日和』『丸の内サディスティック』『キラーチューン』など、今もなお人気でCMにも使われる数々の名曲を生み出してきた。

 

そんな東京事変のアルバムに『東京コレクション』がある。

 

 

今までのライブの中から厳選された音源が収録されており、解散した2012年2月29日の閏日の二週間前、2月15日に発売されている。椎名林檎のベストアルバム嫌いのため、東京事変はそれまで一度もベストアルバムを発売していなかった。しかしこの『東京コレクション』はライブのベスト音源で構成されており、実質東京事変のベストアルバムということになっている。

 

三十二歳の別れ
禁じられた遊び
かつては男と女
キラーチューン
OSCA 
ミラーボール 
復讐
ピノキオ 
閃光少女
透明人間 
丸ノ内サディスティック 
スーパースター
群青日和
夢のあと

 

の全14曲が収録されており、曲順は最新のライブ音源から初期のライブ音源へ、遡るように収録されている。

 

僕の知る限りではこの『東京コレクション』はあまり知名度が高くない。そしてこのアルバムの一曲目に収録された『三十二歳の別れ』も同様に、あまり知られていない曲だ。

 

『三十二歳の別れ』は椎名林檎が三十二歳の頃に書いた曲だ。

 

ある一曲について、このように文章を書くというのは初めて、かつ非常に難しいことなのだが、僕はどうにかして感動を伝えたいと思い、今パソコンに向き合っている。

 

音楽について何かを書くのはとても頭を悩ます行為だ。聴いたことがない人にとっては掴みようのない話になってしまうし、聴いたことがある人にとっては「何をコイツは的外れなことを言ってるんだ」と思われかねない。

 

多種多様な人が読んでいるという前提を踏まえながら、この『三十二歳の別れ』という曲を一言で表すと"十二月の寒い夜に、駅からひとり歩きながら一年の終わりを感じるときに聴きたい曲"と言うことができるし、あるいは"満開の桜の下を、4月始め特有の何かが始まりそうな高揚感の裏に感じる微かな寂しさ"をいっそう際立たせる曲と言えるのかもしれない。

 

または"8月の終わりに祭りに向かう途中、遠くに沈んでいく夕日を眺めながら夏の終わりを感じさせる曲"でもあるし、"10月の早朝、窓の外の虫の声を聴きながらひとり布団で本を読むときに聴きたい曲"と表すこともできる。

 

全く一言で表すことができなかったが、『三十二歳の別れ』は春夏秋冬季節を問わず、いつでも僕の心に"哀愁"を漂わせてくれる、そんな曲なのだ。

 

そして『東京コレクション』というアルバム本体に目を向けると、ライブ音源の特性を活かした臨場感の素晴らしさに"耳"を奪われる。僕は椎名林檎のライブに行ったことはないのだが、まるで彼女のライブにいるかのような感覚に陥った。

 

東京事変、そして椎名林檎のライブの良さは、CDに収録されている音源をアレンジして披露することだと聴いたことがある。その言葉通り、『東京コレクション』に収録されている『群青日和』『閃光少女』『キラーチューン』などの名曲にアレンジが施してあり、原曲以上に聴く者の耳を魅了する、そんな曲になっている。

 

東京事変、そして椎名林檎に出会うことができて良かったと、心の底から思わせてくれる、そんな一曲が『三十二歳の別れ』なのだ。

 

今の僕にとって三十二歳はかなり先の未来で、一体自分がどうなっているかなんて全く想像すら及ばないが、この曲を聴いて今までの三十二年間を体が擦り切れるくらい楽しめた、そして三十二歳から先もずっと全力で楽しんでいこうと、そう思えるような大人になりたい。

 

 

幸いなことに『三十二歳の別れ』はじめ、東京コレクションはYouTubeには動画が上がっていない。普段僕が愛用しているAmazon Music Unlimitedで聴くことができ、今なら学生なら6ヶ月無料、それ以外の方も4ヶ月99円で聴くことができるので、少しでも興味を持った方がいたら聴いてみてほしい。

 

 

 

さらに普段なら5980円のEcho Dotとセットで999円で買えるキャンペーンもやってるのでぜひ。(数量限定とのことでお早めに)

 

 

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